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浦和地方裁判所川越支部 平成7年(ヲ)36号 決定

申立人

株式会社エー・アール・マネジメント

右代表者代表取締役

右代理人

相手方

Cこと

主文

1  相手方は、引渡命令の執行までの間、別紙物件目録≪省略≫記載の不動産(以下「本件不動産」という。)に対する占有を解いて、これを執行官に引き渡し、保管させよ。

2  執行官に、引渡命令の執行までの間、本件不動産を保管することを命じる。執行官は、その保管にかかることを公示するため適当な方法をとらならければならない。

理由

1  申立人は、買受人のための保全処分として主文同旨の決定を求めた。

2  一件記録によれば、以下の事実が疎明される。

(1)  申立人は、基本事件において、最高価(二三一一九〇〇〇円)にて本件不動産の買受けの申出をし、平成六年一二月二〇日に売却許可決定を得た買受人である。

相手方は、差押えの効力発生後に本件不動産に入居し、占有している。

申立人は、平成七年二月一日に売却代金を納付した。

(2)  本件不動産は、差押え直後空き家の状態であった。その後、相手方が「債権者 東辰」から留守居を依頼されたと主張して本件不動産に入居し、現在も占有している。

(3)  相手方は、申立人との立ち退き交渉において、競落価格の二〇パーセントに相当する金四六〇〇〇〇〇円の立ち退き料を要求した。

更に、第三者の「a会のD」と名乗る者から、組事務所として使用したいので競落価格に一ないし二万円上乗せした額で買い受けたいとの申出があった。

3  以上の事実によれば、相手方が執行妨害を目的として本件不動産を占有していることが認められ、本件不動産の引き渡しを困難にする行為をするおそれがある。よって、申立人の本件申立ては理由があるから、民事執行法一八八条、七七条に基づき、主文のとおり決定する。

(裁判官 前田博之)

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